2022 年受賞

社会貢献賞

“働きたいけど働けない”人材を活かし地域社会に貢献する企業

  • 株式会社はたらクリエイト
  • 中部

サービス業(他に分類されない)

         

サステナグロースカンパニーアワード
2022社会貢献賞

  • 受賞理由


    同社は「“働きたいけど働けない”人材を活かし地域社会に貢献する企業」として、採用の対象を「未経験者、働く時間に制限がある地域の人」を中心にしています。従業員の 95.9%が女性、84.6%が小学生以下の子どもを育てており、同社は託児所の運営、ライフステージに合わせて選べる雇用形態などの「安心して働ける環境」を整備。「タスクと進捗の常時可視化」で、子どもの発熱など急なトラブルの際はチーム、組織で対応する形を整えています。
    同社は「環境や属性を理由に仕事を楽しむことを諦めなくていいように」と2015年に託児所付きオフィスを開設。補助金などを活用して従業員と業務委託契約し、近隣企業から難度の低い業務を受注していましたが、「持続可能な形にするためには収益を上げていくべき」と、2017年に一般社団法人から株式会社へ会社形態を変更しました。従業員も雇用に変え、首都圏の中堅·大手企業を対象に付加価値の高いオフィス業務を代行し、ビジネスとして価値を出す形に変えました。
    株式会社化後の年平均成長率は約16%で、顧客満足度は高く、契約更新率が約96%と、ほぼすべてのクライアントが継続利用しています。宮下一郎内閣府副大臣(当時)などこれまでに 40以上の視察を受け入れているほか、厚生労働省「グッドキャリア企業アワード 2020」イノベーション賞(厚生労働省人材開発統括官表彰)など数多くの受賞をしています。
    社会課題の解決と収益を両立させる同社に、『社会貢献賞』をお贈りします。


    子育て中従業員85%、働きづらい人材を積極採用し
    年平均16%成長を誇る株式会社はたらクリエイト





    企業概要


    会社名 株式会社はたらクリエイト
    代表者名 井上 拓磨
    設立 2012年10月
    本社所在地 長野県上田市中央 2−10−15 千曲錦ビル1F
    従業員数 121人(2021年1月現在)
    事業内容 オフィス業務代行、コンテンツ制作業


    受賞理由


    社会課題の解決と収益の両立


    ・一般社団法人としてスタートし、株式会社化した2017年以後の年平均成長率は約16%。顧客によるサービス契約更新率は約96%。
    ・子育て中や心身の理由など、“働きたくても働けない”人材を積極採用。従業員の95.9%が女性、84.6%が小学生以下の子どもを育てる。
    ・内閣府副大臣、経済産業省、大手企業等40以上が視察。厚生労働省「グッドキャリア企業アワード2020」イノベーション賞(厚生労働省人材開発統括官表彰)など受賞多数。


    業界ポジション


    BPO業界で稀有なサービス領域と戦略


    フロントオフィス業務についてのアウトソーシングを、成果追究型で受託。付加価値の高い業務を代行することで、ビジネスとしての価値を創出しています。


    事業概要


    4年で1.7億に成長した
    チーム型アウトソーシングサービス


    2017年以後、年平均で約16%の成長率を誇る株式会社はたらクリエイト。
    同社の躍進をけん引するサービスが「banso.」です。
    banso.とは、メディアの記事作成やホームページ作成、運用代行、さらには採用サポート、マーケティング・営業サポートなどを受託するチーム型アウトソーシングサービスです。
    2022年4月現在、日本最大級の人事ポータルサイトの記事制作を始め、大手企業から首都圏のベンチャー企業まで幅広い顧客に向けてサービス提供を行っています。



    banso.は、サービスが対象とする範囲や、姿勢、業務プロセスなど、主に以下3つの特徴があります。
    1つ目は、「成果追究型のフロントオフィス業務のアウトソーシング」という点です。一般的なBPO業者は、人事・総務・経理等のバックオフィス業務のアウトソーシングを受託する効率追求業務を行っています。一方でbanso.は、営業・マーケティング等のフロントオフィスについて、成果追究業務を行っています。一例として、ある企業では記事流入によるPV(ページビュー)がゼロでしたが、banso.によるSEO戦略とコンテンツ制作により月間約12万へと改善。さらにCV(コンバージョン)も回復させました。




    2つ目の特徴は、「チーム型」である点です。顧客企業とチーム一体となって進めるという、チームを成長させるプロセスが確立されています。サービスの導入準備から、業務改善・品質向上まで一連のプロセスを一体感をもって行うことで、業務担当とのコミュニケーションや方針変更の柔軟さ、ノウハウ共有などに強みを持ちます。

    さらに3つ目として「直接雇用に近いけれど、直接雇用よりも安い」という点があります。チーム型アウトソーシングという強みから、直接雇用よりも安く、それでいて直接雇用では退職により蓄積されにくいノウハウ等もbanso.により蓄積され、成長と成果につなげることができています。




    これらから、banso.は2017年のリリース以来、実質4年で約1.7億円のサービスに成長しました。これは業界平均値の3倍のスピード感です。さらに1社あたりの年間受注額は500万円。こちらも業界平均を上回る2倍の受注額に当たります。
    同社によれば、顧客満足度は約85%と高く、約96%の企業がサービス契約を継続更新しています。
    現在、同社のbanso.は契約待ちの企業が多数。同社ではサービスに当たる人材を増やすべく、約20%の営業利益を採用育成に積極投資しています。






    ITコンサル&BPO事業も成長
    新規事業創出へ積極投資


    同社の事業は、チーム型アウトソーシングサービスbanso.のみに留まりません。
    2020年5月、同社は新規事業としてITコンサル&BPOの「mieteru.」のサービス提供を開始しました。




    mieteru.は、Salesforceやkintoneなどを使いこなせていない企業に向けたサービスです。これら企業の課題である「ワークフロー設計」「データベース連携」について、船井総研と共にサービス化しました。
    導入後1年で、完全クラウド、業務の自動化、情報の可視化がされました。これによってリモートワークが可能となったある企業の例では、遠隔地の専門人材が雇用できるようになり、応募者数が導入前後で10倍になるという成果につながりました。
    2021年時点では、年間2000万円程度の事業ですが、時間あたりの生産性がbanso.の3500円に比べ、10000円と高く、今後さらなる収益化を同社では見込んでいます。

    この他にも、新規事業について同社は積極的に投資をしています。


    ユニークな組織運営と柔軟な雇用形態
    “働きたくても働けない”人材を積極採用


    こうした競争力の高いサービスもさることながら、同社の強みは組織人材戦略にあると言えるでしょう。

    2021年1月現在、同社の従業員121人のうち、男性は5人。業務委託者を除くと、2人しかいません。実に95.9%が女性です。さらに、全社員のうち84.6%が小学生以下の子どもを育てています。




    採用率に目を向けると、首都圏の企業が1~3%に対して、同社は50~70%。なお本社を置く長野県上田市の人口は約15万人です。
    また、一般的には広いエリアで募集をかけ、フルタイムで働ける優秀な経験者を採用基準と考えがちです。ところが同社は、地域内で、子育て中や心身の理由などから勤務時間が限られる“働きたくても働けない”人材を採用しています。

    では、なぜこのような採用でも、上述のような競争力を保てているのでしょうか。
    肝は、安心して働ける環境と、チーム対応による分業にあります。

    まず、同社には子育て中の従業員のための託児所が設けられており、一緒に通ってお昼ご飯も食べられるようになっています。正午には子どもたちが職場に入ってくる「人間アラーム」があり、業務が長引くということもありません。




    また、有期・無期パートタイマー、正社員など複数の雇用形態を設けています。これにより子どもが育つなどライフスタイルの変化に応じて、働き方を変えることも可能です。
    従業員それぞれ働き方が異なるため、チーム対応による分業も仕組み化し、タスクと進捗、目標などを可視化して業務にあたれるようにしています。
    さらに、個々の「取扱説明書」「キャリア形成における価値観」も可視化。それにより、互いの違いを受け入れ補えるようにしています。
    これらの仕組みにより、未経験者が数年でDXエンジニアへと成長できるようになり、3年でマネジャー職にも就いています。

    働きやすく、入社後も成長できるという環境から、同社の離職率はわずか3~4%に留まっています。


    社会への影響


    女性の半数は第一子出産前後に退職してしまう
    日本の社会課題解決に挑む


    女性は第一子出産前後に46.9%が退職しています(2010~14年、国立社会保障・人口問題研究所)。実際は「働きたい」という意思があっても、働ける環境が十分とは言い難いでしょう。
    そこで、はたらクリエイトは2012年に一般社団法人としてコワーキングスペースの運営や女性の就労支援を行うことから事業をスタートしています。2015年に「環境や属性を理由に仕事を楽しむことを諦めなくていいように」という理由から、託児所付きオフィスを開設しました。
    しかし当時は、補助金なども活用しながらの運営だったため、持続可能な形態ではありませんでした。

    そのため、ビジネスとして価値を出していけるようにと2017年に株式会社化へと舵を切りました。これにより業務委託契約を結んでいた人も、雇用するように転換を図り、株式会社化以前の2016年に10人だった従業員は翌年には39人、2021年現在は121人にまで増えたのです。

    新たな雇用が生まれたことは地域へも影響を与えています。
    オフィス周辺にあった空き店舗には新たに10のテナントが入居したり、商店街組合が黒字化するなど活性化しています。
    また、長野県知事と移住者向けのプロジェクトを提案、実施し、県の新規移住者の増加に貢献しています。
    さらにSDG’sという点でも、「5.ジェンダー平等を実現しよう」「8.働きがいも経済成長も」の実現に向けて、取り組みを進めています。


    40社の視察と多数の受賞


    同社の取り組みは、社会的にも注目されています。
    経済産業省、国土交通省、県議団、地方銀行、大手企業など40以上が視察。2019年には宮下一郎内閣府副大臣(当時)が視察に訪れました。
    また、2019年にはHR総研「第8回日本HRチャレンジ大賞《人材マネジメント部門優秀賞》」、2020年には厚生労働省主催「グッドキャリア企業アワード2020」イノベーション賞(厚生労働省人材開発統括官表彰)、2021年には「ダイバーシティ&インクルージョン Award2021」にて最高位の《ベストワークプレイス》など数多くの受賞をしています。


    地域社会への雇用創出や活性化などへと波及


    担当コンサルタントコメント「社会課題をビジネス視点で解決させた」


    はたらクリエイト様は、一般社団法人として歩みだした2012年より女性の就労支援に携わってきましたが、「ビジネスとして価値を出す集団になる」と株式会社化した2017年を転換期に大きな飛躍を遂げました。
    「女性が長期的なキャリアを見据えて働くことのできる環境」を核としたサービスが、大きな価値を生み、地域社会への雇用創出や活性化などへと波及しています。これら取り組みの全容は、まさに社会貢献賞を贈るにふさわしい企業でしょう。
  • 株式会社はたらクリエイト
    代表取締役
    井上 拓磨 氏

株式会社はたらクリエイト
URL:https://hatakuri.jp/
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